北アメリカ大陸の北部に位置するカナダは、世界最大の多民族国家と言われ、お葬式のスタイルも様々です。
今回はカナダで最も多い、キリスト教徒のお葬式の風習・しきたりについてご紹介します。
カナダでは日本とは異なり、亡くなる前に希望する埋葬方法やお葬式のスタイルを家族に伝えたり、弁護士に遺言書を残しておく人が多いそうです。
埋葬方法は、火葬か土葬かを選べますが、昨今では火葬が増加傾向にあります。火葬の場合、特徴的なのは、先に葬儀場で火葬をしてからお葬式を行うことが多く、日本のように遺族が骨を拾うことはないそうです。
故人のご遺灰はお葬式の当日に、大きな陶器の中に入れて祭壇に置かれるのが一般的です。
こうした経緯から、お葬式は必ずしも亡くなってからすぐに行うとは限らず、1ヶ月後にお葬式をするケースもあるそうです。
キリスト教のお葬式は、主に教会で行われます。
服装は暗い色の服を着るのが基本で、比較的カジュアルです。
基本的に香典を渡す習慣はなく、追悼の意を表したメッセージカードやお花を持参する人が多いようです。会場にドネーション(寄付)の箱が設けられている場合もあります。
お葬式は賛美歌ではじまり、喪主のご挨拶、牧師様のお話、聖書の朗読と続きます。喪主のご挨拶では、参列者1人ひとりに感謝の気持ちが伝えられ、故人の映像を流してみんなで視聴するなど、アットホームであたたかみのある雰囲気です。
お葬式が終わると、参列者と共に墓地まで行き、牧師様から最後の言葉をいただき、そこで解散となります。
その後、故人の親族や友人たちが集まり、軽食を食べながらパーティーのような感じで交流し、思い出話に花を咲かせます。
昨今では、喪主と親しい人のみで墓地に集合し、牧師様のお話を聴いて10分ほどで終了する簡素なスタイルや、ホテル・葬儀会館で故人の希望に添ったお別れ会を行うなど、多様化する傾向にあるカナダのお葬式。
様々なカタチはあるものの、心を込めて故人を送り出そうとする想いは万国共通ではないでしょうか。