北アメリカ大陸に位置する連邦共和制国家、アメリカ合衆国。自由の国と称され、様々な人種が入り混じるアメリカもまた、様々なお葬式のスタイルがあります。
今回は、およそ7割を占めるキリスト教徒のお葬式の風習・しきたりに加え、個性溢れるお葬式や、進化する葬送についてご紹介します。
アメリカでは、近しい人が亡くなるとご遺族様が新聞に死亡広告を出す習慣があります。故人様とゆかりのある方は、死亡広告を見てお葬式の日時や場所を知ることになるそうです。
また、アメリカではご遺体を修復するエンバーミングが一般的なものとされています。その背景には、亡くなってからすぐにお葬式を行うとは限らず、火葬の日取りが決まってからお葬式の日程を決定することがあるようです。
アメリカでは、お通夜はViewingと呼ばれ、主に葬儀場で行われます。
故人様に別れを告げ、ご遺族様とお話しをします。あまり親しくない間柄の場合は、Viewingのみに出席することも多いようです。
お葬式はミサと呼ばれ、Viewingの翌日に葬儀場や教会で行われます。
ミサでは牧師様のお話を聞いて賛美歌を歌い、祈りを捧げます。
後日、メモリアルと言われるお別れ会を実施する場合もあります。
メモリアルは、故人様と仲が良かった人々が参加し、思い出話などをする会になります。
ミサが終わると火葬場へと向かい、火葬が行われた後、拾骨で骨壺に遺骨が納められます。
埋葬時はリムジンカーで墓地へと向かい、牧師様のお話を聞いた後、みんなで祈りを捧げ、埋葬されます。
埋葬が終わると、教会へと戻りケータリングや持ち寄った料理で会食が行われるそうです。
ここまでが一般的なお葬式の流れになりますが、アメリカでは個性豊かなお葬式が行われており、ニューオリンズの「ジャズ葬」が良く知られています。
ジャズ葬は2部構成になっていて、1部はジャズバンド先導のもと、故人様のご家族・ご友人が棺を抱えてお墓まで賛美歌を歌いながら運んでいきます。
2部にあたる埋葬後は、ジャズバンドとともに街中をパレードのように練り歩き、演奏される曲調も明るくノリの良い音楽が奏でられます。
パレードに参加する人たちも歌って踊ってパレードを盛り上げるそうです。
また昨今のアメリカでは、ご遺体を栄養豊富な土に生まれ変わらせる「堆肥葬(有機還元葬)」や、ご遺体をアルカリ加水分解して液状処理する、新たな水葬「アルカリ加水分解葬」の実用化を進めるなど、火葬と土葬に変わる葬送方法が実現されています。
地球温暖化や、埋葬に要する土地不足など、様々な環境課題をふまえ、進化するアメリカのお葬式。
これから先の未来にも、心を込めて故人様を送り出す習慣がずっと続くことを願います。