お葬式コラム

伝統と革新を感じるお葬式…世界のお葬式事情(イギリス編)

風習
- 2022.06.01(水)

イギリスのお葬式は、故人と親しい少数の参加者で行うことが一般的です。

なぜならイギリスでは古来より、死はプライベートなもので、愛する人を失った悲しみを心の中で噛みしめるという考えが根付いているからです。亡くなった知らせを受けても、大勢の人が遺族のもとに集まることは少ないと言われます。

イギリスではお通夜を行う風習はなく、告別式では、牧師さんの話、賛美歌、ご家族による詩の朗読、故人の人生や人柄を振り返る哀悼の辞などが行われます。

その後、故人のご自宅、または近くのパブやレストランなどで食事会を行い、故人の思い出を語り合います。

お葬式の服装に決まったドレスコードはなく、落ち着いた色目のワンピースやジャケットなど、比較的カジュアルな装いが多いようです。

また、スコットランド地方では、古くからご遺体を運ぶ手段として「霊柩馬車」が使われていましたが、自動車の登場により馬車は一旦姿を消していました。

しかし最近では伝統的な馬車が復活し、予約をすれば気軽に利用できます。

 

埋葬については、昔はキリスト教の思想により土葬が一般的でした。

しかし、近年では土地の問題や費用面から7割が火葬です。

そして昨今では、自然環境に配慮した「樹木葬」にも注目が集まっています。

イギリスの樹木葬は、

・エンバーミング(遺体を消毒や保存処理、または必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法)をしない。

・ダイオキシンを出す火葬ではなく、土葬を選択する。

・棺は土で分解する素材や藤製を使用する。

・墓地に墓標を立てたり、木を伐採したりして整地をしない。

などの考えに基づきご遺体を埋葬します。

今ではイギリス国内に270箇所もの樹木葬墓地があるようです。

 

伝統的な思想や文化と、新たな取り組みが入り混じった、イギリスのお葬式。

日本とは異なる風習も多く、感慨深いものです。