世界各国のお葬式にまつわるしきたり、風習をご紹介するコラム。
今回は東南アジアの国、カンボジアのお葬式についてご紹介します。
インドシナ半島南部に位置し、北はラオス、西はタイ、東はベトナムと国境を接する立憲君主制国家、カンボジア。
人口は約1,671万人、面積は日本のおよそ半分と言われています。
首都はプノンペン、公用語はクメール語で通貨はリエル。宗教は人口の90%が上座部仏教になります。
カンボジアでは、お亡くなりになるとご遺体を水で洗い、新しい服を着せます。
その後、ご遺族や親族が柩を担いで火葬場のある寺へと運び、火葬の儀式とお葬式を一度に行うのが一般的です。
ご遺族に子供や孫がいる場合は、頭の髪の毛を剃ることもあります。
参列者の服装は、男性は上が白、下が黒の服を着て、女性は上が白、下はカンボジアの伝統的な巻きスカート、サンポットを着るそうです。
火葬とお葬式が終わると、参列者は黄色い旗が置かれたご遺族の家に向かいます。
家には仮設のテントが建てられ、屋外でホームパーティーのような食事会が行われます。
食事はカンボジアの郷土料理、ボボーモアンという鶏肉入りのおかゆをはじめ様々な食べ物が振る舞われます。
この時、必ずスピーカーから大音量で仏教音楽を流すそうです。
日本では静かな環境の中で食事をすることで故人を偲ぶことが多いですが、カンボジアでは故人の魂を鎮めるために大きな音で音楽を流しつづけるというしきたりがあるようです。
カンボジアの上座部仏教は、輪廻の思想が重視されており、人々は現世の汚れを清め、来世でのよりよい身分への生まれ変わりを願い、功徳を積みます。
こうした考えからか、お葬式では嘆き悲しんだりしんみりする雰囲気ではなく、故人を楽しく見送ろうとするようです。
同じ仏教でも、日本で主流の大乗仏教とはまた異なる部分があるようですね。
古来よりカンボジアの人々が大切に受け継いできた風習・しきたりが、これからも末永く続くことを心から願います。