日本のお葬式では、喪主となる方が親族や知人・隣人などに連絡し、参列者は、喪服や香典、供花などの準備をすることが一般的ですが、フランスは少し事情が異なるようです。
フランスでは「どこの誰が亡くなった」という情報は、「地域新聞」で知ることが多いと言われます。
新聞には「お葬式のご案内」的な欄があり、死亡者・死亡日時・喪主・葬儀日時が記載されています。
お通夜をすることは少なく、亡くなってから3〜5日位でお葬式が執り行われます。これまでの間、ご遺体は市町村にある遺体安置所の冷蔵室に保管されます。
人口の約65%がカトリック教徒というフランスでは、お葬式もカトリック式が一般的。お葬式は、神父による聖書の朗読や参列者による聖歌などが行われます。参列者は、遺体の足元に置かれた聖水入りの器に棒を湿らせ、十字を切りながら聖水をかけ、ご冥福を祈ります。
また、フランスでは、香典や香典返しをする習慣がありません。
親しい友人やお世話になった方に何かしたい場合は、アレンジメントフラワーを渡すようです。
お葬式の服装は、喪主は黒い服を着ることが多いですが、参列者は肌を露出しないなら自由です。春夏には、ピンクや赤などの明るい色の服を着て参列する人もいるそうです。
埋葬については、伝統的なキリスト教の習慣からまだ土葬が多いものの、土地不足や衛生面の観点から昨今では火葬が増加傾向にあります。
火葬された遺骨は、陶器や大理石で作られたオシャレな骨壷に収められ、ご自宅に持ち帰ってリビングに飾る方が多いそうです。
フランスでは、親しい人が亡くなっても必要以上に悲しむことはしません。
なぜなら「セ・ラ・ヴィ(それが人生さ)」という考え方が根底にあるからだと言われます。お葬式も厳格で重苦しいイメージではなく、終始明るいムードで行うそうです。
日本とは色々と事情が異なるフランスのお葬式。その土地特有の文化や思想があることに改めて気づかされますね。