メキシコでは、古くから「死とは生の延長であり、その一部である」と考えられており、死を受け入れ生を存分に楽しむ、という死生観があります。
こうした背景からか、メキシコのお葬式は明るい雰囲気で行われるようです。
お葬式の場所は、自宅や葬儀場で、服装は基本的に自由。葬儀場にはカフェテリアがあり、お菓子やパンなどが用意されます。このカフェテリアで故人の思い出を楽しく語り合い、お葬式の後に二次会として飲みに行くこともあるそうです。
メキシコの埋葬方法は、土葬が一般的で、お葬式の前に棺桶を用意し、お葬式が終わるとそのままお墓に埋葬する流れになります。一部の地域では、複数の棺桶を積み上げる棚のようなお墓もあります。
埋葬時は、マリアッチといわれる伝統的な楽団が、故人が好きだった曲などを演奏して、みんなで明るく送り出します。
また、メキシコで良く知られているのは、毎年10月31日〜11月2日の3日間行われる「死者の日」です。
日本でいう「お盆」にあたる行事で、メキシコでは、オフレンダと呼ばれる祭壇が作られ、みんなで食べたり飲んだりしながら、夜通し故人の思い出を楽しく語り合うそうです。
また、骸骨メイクや骸骨衣装を身にまとう死者のパレードが行われます。みんなで楽器を演奏したり踊ったりする独特の賑やかな雰囲気で、ユネスコの無形文化遺産にもなっています。
大切な人を亡くした悲しみを皆で分かち合い、明るい気持ちになろうとするメキシコのお葬式、日本と異なるスタイルもまた、感慨深いものがあります。